ROY BUCHANAN
ロイ・ブキャナン

1940 - 1988





今回紹介するのは、「世界最高の無名ギタリスト」と呼ばれたこの人です。



BIOGRAPHY
DISCOGRAPHY




−ミュージシャンズ・ミュージシャン−


ロイ・ブキャナンの名前を初めて聞いたのは、昔々、来日したイエスのスティーブ・ハウのインタビューを書いた、音楽雑誌の記事だった。

ウォークマンを聞いているハウに「何を聞いているの?」とのインタビュアーの質問に、

「これは、ロイ・ブキャナンというギタリストのテープだよ。今一番気に入ってるんだ。」

と答えるハウ。

イエスの事もそっちのけで、ロイの話をしていたのが印象的だった。


エリック・クラプトンがブートレグを含め、ロイのすべてのレコード、テープをコレクトしているのは有名な話である。


あの、一匹オオカミ然として、仲間を必要としないというイメージのジェフ・ベックでさえ、アルバム「ブロウ・バイ・ブロウ」の中の「哀しみの恋人達」という名曲を、ロイ・ブキャナンに捧げる。と、わざわざクレジットしているのです。


他にも、チェット・アトキンス、ジェリー・ガルシア、ダニー・コーチマー、マール・ハガード、アル・クーパー、ミック・ジャガー、数えればキリないぐらい、ロイを崇拝するアーチストは多い。

ブライアン・ジョーンズの後任ギタリストを断ったのは有名(BIOGRAPHY参照)。


また、ジョージ・ハリスンが来日した時、ジョージの手にはフリッツ・ブラザーズというメーカーの「ロイ・ブキャナン・ブルースマスター」という名のギターが抱かれていた。



ロイ・ブキャナン・ブルースマスターを弾くジョージ

このギターは、ロイの晩年頃に販売されて、ジョージや、ゲイリー・ムーアをはじめとする、ロイを敬愛するミュージシャン達に愛用された。

(ゲイリー・ムーアの「After The War」に収録されている「メシアが再び」は当然、ロイ・ブキャナンがオリジナル)


私たちに、好きなミュージシャンが有るように、ミュージシャンにも好きなミュージシャンはあるのです。

同じミュージシャンの間で尊敬され、高い評価を受ける者の事を「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と呼びます。

ロイ・ブキャナンは紛れもなく、ミュージシャンズ・ミュージシャンです。






- ギタープレイ -


牧師の息子に生まれながら、ブルースという悪魔の音楽に身を投じたロイ・ブキャナン。

ブルースだけではなく、カントリー、ロック、ロックン・ロール、ジャズ、ハード・ロック、までこなしてしまう。


ジェフ・ベックが、作品ごとにスタイルを変えてファンを置いてきぼりにするのに対して、ロイは何をやってもロイでした。


クラプトンが、ブルースにこだわったのに対して、ロイはこだわりもなく色々なジャンルに手を出してる。

しかし、根っ子の部分で、こだわらなくても勝手にブルースなのです。


テクニック面でロイを追いかけたジェフ。

根っ子の部分でロイを尊敬していたエリック。


テクニックはジェフの出来る事はすべて出来るような感じさえ有る。

よくアーチストの得意技とかを言うが、ロイは何でも有りなのだ。ピッキング・ハーモニクス奏法。ミュート奏法、ヴァイオリン奏法、フィード・バック奏法。

どれも一級品でピッキング・ハーモニクスの多用でロイだとやっと判るぐらい。

私なんか、初めてロイを聞いた時、アーム付きのギターを使ってるって思いました。53年のテレキャスでアーミングのようなプレイ 、判りますか?

得意技(他のギタリストなら必殺技)を沢山持っていて、どんなジャンルもこなし、どこから聞いてもロイの音 (これは、ギターをレス・ポールに変えても判ります。) で、ブルース。

クラプトンが人から誉められても、自分はまだまだ的な発言をしたり、ジャフ・ベックはロイの後を追いかけ、スタイル変えて上手くいかなかったり。

しかし、ロイのサウンドを聞いて、世のギタリスト達のレベルが上がったのは事実。

ロイのロック界へ与えた影響は、本人の得た報酬よりも大きすぎる。





−その死−


まず、バイオグラフィーの最後を読んでほしいです。

彼の死因は自殺です。彼の周りの人は口をそろえて言う「自殺するとは思えない」と。

存命中のロイに対しての周りの見た目は、楽天家、気のいい奴、飲兵衛、などと評した後、必ず、おとなしい、ナイーブ、と続くのです。相反するもののようで、こういう部分を持った人は、悲劇の終演を迎えたロック・スターではよく聞く話ですね。

クラプトンなども、星になりかけた事がありますが、ロイはクラプトン以上にナイーブだったようです。

あまり、詳しく書かれた物がなく、憶測でしか人物像を伝えられないのですが、彼の音楽を聴くとき、聞き手にも、命がけの覚悟が要るぐらい、彼の音楽は鋭くて、ナイーブというのは本当だろうというぐらい、繊細でした。

家族を愛する為に、表だった舞台を嫌い、ローリング・ストーンズのオファーを蹴ったロイなのに、家族を残して自ら命を捨てたという事が信じられません。

ブルースを極める為に、悪魔と取引したんだ。という人がいても、納得出来るくらいロイの自殺は考えられない事です。




- 最後に -


この記事を読んで、一人でも多くのかたが、このブルースマンに興味を持っていただけたら幸いです。

今、彼の音の財産も、見かけなくなりました。

この、ギターは器用だったが、不器用にしか生きられなかったロイ・ブキャナンが、これからでも正当な評価を受け、忘れ去られてしまう事がありませんように・・・・・



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