RICKENBACKER WITH
George Harrison


- ジョージの使った3つのリッケン -


*1962 425 Jetglo*


「ジョン、返してよ」


「ウーン、軽い!ノリノリさ!」


「姉ちゃん、アリガト」

ジョージのリッケンといえば12弦が有名ですが、ジョージの最初のリッケンといえばこの425です。


1963年9月16日、アメリカはミズリー州に住のセントルイスに住む、姉のルイーズを訪ねた時に、彼女からこのギターをプレゼントされました。


仕様は以下の通りです。

ペグはツマミが白いプラスチック。六角ブッシュの一列クルーソン。ピックガードは大きなホワイト・アクリル。

ピックガードのセンターにあるピックアップはトースター・トップ・ピックアップが一つ。

1ボリューム、1コントロール、
ロー・カットスイッチ。弦高調整可能なアルミ製のブリッジ。そのブリッジの乗ったシリアル・ナンバーの入ったブリッジ・プレート。

ボディーはメイプル。ネックもメイプルのスルー・ネック。ボディー厚は31mm。指板は61年から64年初めまでのモデルに見られるローズ・ウッド。フィニッシュはジェット・グロー。60年の物はネックがペイントされてない物が多い。(ヘッド、及びネック裏)

63年にネーム・プレートが細く短くなっているので、太く長いジョージの425は、62〜63年頃の物と思われます。

この425の特徴は1ピック・アップながら、ローカット・スイッチのおかげで、バリエーションの広い音が出せます。

ロー・カットして、トレブルを効かした音と、ロー・カットをオフにして、トレブルを絞った音では、かなりの違いが有ったようです。


「レディー・ステディー・ゴー」などの映像でもこの425の姿は確認できるが、
アテレコの為、音は未確認である。


ここで疑問に思われた人は、チェック厳しいです。そう、ジョンの325/12で私が言った「リッケンのナンバーの
末尾が5ならアーム付き」という発言です。

これは64年のモデル・チェンヂ (これも言いましたね) から徹底されたことで、このギターものちに420とナンバーが変わります。









ジョージは2ピックアップの450も持っており「ディス・イズ・ラブ」のビデオクリップの間奏でスライドしている。

頭の4がボディーシェイプの番号。真ん中がピックアップ。最後がトレモロの有る無しということらしい。


*1963 360/12 Fireglo*


写真1


写真2


写真3




ジョージのリッケンの中で一番有名なのが、この360/12でしょう。

余談ですが、バーズのロジャー・マッギンはビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」を見て、リッケンの12弦を手に入れたと言います。

名曲「霧の8マイル」は、ジョージがこの360/12を使わなければ無かったのです。(言い過ぎ?)

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では、このリッケンバッカーで2本目に作られた (1本目の話は後で) 360/12の話です。

仕様は以下の通りです。

制作1963年12月。(ビートルズの為に作った為、制作日が判っている)

ペグはクルーソン。ブッシュは六角。

ネーム・プレートは弦がヘッドの中から出てくるため、6弦側がえぐれたカーブになっている。MADE IN U.S.Aの文字は無い。

ピック・アップはトースター・トップ・ピック・アップが二つ。

ブリッジは6弦用を流用。(2つの弦が1つのサドルに乗っている) テイル・ピースはコの字形。2枚式のアクリル・ピック・ガード。

コントロールは、ピック・アップ・セレクター、2ボリューム、2トーン、ミキサー・コントロール。ノブは、ブラック・トップ。

アウト・プットにR.O.S (リック・オー・サウンド) もついています。このステレオ・アウト・プット・システムは、フロントとリアのピックアップを別々に出力するものです。

ボディーはメイプルの3ピース。

表裏に白いセル・バインディング。トップにキャッツ・アイ・ホールと呼ばれる、サウンド・ホール。

フィニッシュはファイヤーグロー。

ポジション・マーカーは、クラッシュ・パールではなく、乳白色の素材で、所々わずかな黒が入っている。

ネックは6弦と同サイズのスリムなタイプ。
メイプル材の間にウォルナットが通3ピース。ヘッドはウイングにウォルナットを足して5ピースになってあります。


さて、入手経路です。

ポールの項にも書いたのですが、64年2月、F.Cホールはサボイ・ホテルでビートルズの面々を待っていました。しかし、風邪のジョージだけプラザ・ホテルで寝ていました。

最初この360/12、ジョンが見るのですが、ジョンが「ジョージに見せてやりたい。僕たちのホテルに来てくれ」とホールに言います。

F.Cホールは360/12とリッケンのセパレート・タイプのアンプ、シールドを持ってジョージの寝ているプラザ・ホテルを訪ねます。

ジョージはミネアポリスのラジオ局から、電話でインタビューを受けていました。

インタビューで 「何をしてるの? 」 と聞かれ、「僕のリッケンバッカーを弾いているのさ」 と答えます。

で、ホールが 「弾いてみるか? 」 と手渡し、インタビュアーに「どんな具合? 」と聞かれ、「とても気に入っている」 とギターを持ったまま答えています。

こうして、ジョージは360/12を手に入れます。


このギターの最初のレコーディングですが、アメリカから帰った1964年2月25日ジョージ21歳の誕生日。


「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のB面の「ユー・キャント・ドゥー・ザット」が初めて。よく、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のオーバーダビングから使用といわれているが、その説は現在否定されています。

やはり、ギブソンや他のメーカーとは弦の張り順が逆でフラット・ワウンド弦を使ったリッケンならではのサウンドです。

この360/12は
プロト・タイプと言える物で、その後の360/12と製造ラインも異なり、音も違う為、ジョージは大事にしていました。





*関係ないけど、リッケン最初の12弦の話*

上のジョージの、リッケンの二本目となる12弦の前に作られた最初の12弦ギター。

ジョージのは1963年12月製造ですが、こちらは7月製造。

リッケンバッカーが最初の12弦を作った際、このギターを息子のジョン・ホール少年 (現リッケンバッカー社長) は、すっかり気に入ってしまい、父親F.Cホールにねだり、自分の物にします。

しかし、大きくなるにつれて彼の興味は、スポーツ、特にヨットへと移っていきます。

で、このギターを友人に、わずか数10ドルで売っちゃいます。

長い間、友人の元にこのギターは有ったのですが、ある時、サンセット・ブルーバードにある、ビンテージ・ギター店に持ち込まれ、そのシリアルから、リッケンバッカー初の12弦と判明しました。

現在はレストアされて、日本のファンが所有しているようです。





TVチャンネルノブやピックガードの色など、ジョージのとは異なる。








*1965 360/12 Fireglo*


写真1


写真2

ビートルズが来日したとき、ジョージの歌う「恋をするなら」で7フレットにカポタストを付けていたギターです。

写真1でカポタストが見えますね。

まず、仕様からです。

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ラウンド・エッヂ・ボディー・シリーズというのが、64年のモデル・チェンジによって出来ます。

これはそのシリーズの中の一つです。

ボディーはメイプル3ピースのホロウ。

カッタウェイの先は丸くなり、トップのバインディングは無く、ボディー・エッヂは丸く面取りされています。

あと、キャッツアイ・サウンド・ホールの周りにバインディングが有ります。

ネックは前記の63年の物と大きな違いはないが、ヘッドが量産型の為、いくらか丸いエッヂ。

ポジション・マークはクラッシュ・パール。

ペグはクルーソン。
丸形ブッシュ。
ネーム・プレートはリッケンのロゴと平行にMADE IN U.S.Aと入っている。

ピックアップはトースター・トップが二つ。

テイルピースはRテイルピース。

コントロール・ノブはメタル・トップ。

2ボリューム、2トーン、ミキサーコントロール、R.O.Sとなっており、ブリッヂは前モデルと同じタイプ。

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入手経路です。

このギターは65年8月のアメリカ・ツアー中の記者会見の時、
ラジオ局からプレゼントされました。

その模様は映像として残っています。ギターに続いてシルバーのケースもプレゼントされています。



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